横浜市環境科学研究所が毎年行っている「こども『いきいき』生き物調査」の2023年度の結果が発表されました。この調査では、市内の340校に通う小学生が、家や学校の周りで見つけた生き物を報告することで、地域の自然や生き物への関心を高め、生物多様性保全に貢献する基礎データを取得しています。
調査結果のハイライト: カブトムシの減少
2023年の調査には、160校、10,061人の小学生が参加し、その中で注目すべき結果が浮かび上がりました。調査結果によれば、カブトムシの確認率が減少傾向にあり、これは将来の生物多様性保全に関わる重要な情報となります。
調査の背景と目的
この調査は、地域の自然や生き物に対する子供たちの関心を高め、生物多様性保全に資する基礎データを収集することを目的としています。過去11年間での実施で、参加児童数はのべ11万人を超え、地域コミュニティと生態系のつながりを深めてきました。
調査方法
夏休み前に、横浜市内の340校に通う5年生29,397人に対して調査票が配布されました。彼らは過去1年間に「家や学校の近く」で見つけたり、鳴き声を聞いたりした生き物について回答しました。
調査結果の注目ポイント
9つの生き物が調査対象に選ばれ、その中でも特に注目すべきはカブトムシの確認率の減少です。市全体の確認率は2013年以降、徐々に減少しており、2021年にはコロナ禍による行動自粛の影響もあって低下が著しかったようです。今回は62%とやや回復しましたが、依然として低水準が続いています。
原因と今後の展望
前回の低下はコロナ禍が影響した可能性が高く、今回はその影響が続いていることが示唆されています。一方で、ナラ枯れの拡大により餌となる樹液が増え、カブトムシが見つけやすくなっている可能性もあります。しかし、暑い夏には成虫が少ないとの報告もあり、猛暑の影響も考えられます。
結論
子供たちが身近な自然に触れ、生き物に興味を持つことは大切です。今回の調査結果を受けて、地域社会として生物多様性の保全に向けた取り組みを強化し、子供たちに自然への愛着を促進していくことが重要です。